ドクハラ(ドクターハラスメント)

 ドクターハラスメントとは、患者の心にトラウマを残すような医師や医療従事者の暴言、行動、態度、雰囲気など全てを指します。略して「ドクハラ」とも言われるこの概念は、がん治療をトータルコーディネートする「キャンサーフリートピア」の代表であった故土屋繁裕先生が提唱されたものです。

ドクターハラスメントには、以下のような類型があります。
@ 脅し型〜強引に治療に従わせる
 例:「急いで手術をしないと治らないよ」
A 告知型〜患者やその家族を絶望に追い込む
 例:「なにもしないなら、あなたの寿命は半年くらいでしょう」
B エゴ型〜患者の治療や回復よりも病院の利益を優先する
 例:「手術をおすすめします。すでに10日後の手術の予約を取ってあります」
C 人間失格型〜人間として許せないと思わせるほど患者の心を傷つける
 例:「こんな身体じゃお嫁に行けないね」
D セクハラ型〜産婦人科などで女性を傷つける 
 例:「もう年なんだから子宮なんていらないでしょ」
E ミスマッチ型〜患者の状況を理解せずにちぐはぐな言動をする
 例:(術前の高齢者に)「もうすぐ楽になりますからね」

上記のほかにも、不必要にマイナスの言葉を発したり、患者の訴えに突然怒り出したりするのも、ドクハラと言えます。
 ドクハラを受けた患者は、一人で悩みがちであり、PTSDやうつ病を発症するケースもあります。患者は、医師に「診てもらっている」という意識があり、また医師と患者のやりとりは密室のことですから、ドクハラを受けてもなかなか医師に意見を言えないで悩んでいる人が多いようです。
 しかし、医師と患者は、診療契約の当事者であり、本来は対等な立場であるべきです。患者は、医師から適切な説明を受け、診療を受ける権利があります。医師の言動に疑問を感じたら、率直にその疑問を医師にぶつけるべきです。
 そうはいっても、なかなか直接言うのには勇気がいるという場合もあるでしょう。医師に直接言えなくても、病院の窓口を通して意見を伝えてみてもよいかもしれません。最近では、投書箱が設けられる病院が増えてきました。医師に対する意見を書いて投書するのも一つの方法です。
 「ドクハラ」と似た言葉で、「セクハラ」という言葉があります。この言葉が出始めた当初は、セクハラの被害者も泣き寝入りをしていることが多かったのですが、社会に認知されるにしたがって、「セクハラ」はいけないことだという認識が広がっていったのです。「ドクハラ」はまだ社会にそれほど認知されていません。ドクハラの被害者一人一人が声をあげていくことが求められているといえるでしょう。